私のキャンプ

キャンプを楽しむ

自分にとってキャンプは外飲みの中の1つだ。一人暮らしの家飲みも気楽で楽しいものだが、どうせ1人ならソロキャンプで飲むのもまた良い。飲みたい酒を飲んで食べたい物を食べながらの1人で過ごす時間。「どうせなら家より外で飲みたいかも、、、」そう思っただけの事だ。

そこにはキャンプに対してハードルが低かった自分がいた事もある。元々キャンプはやって来た。30年以上前にはハイエースベースのキャンピングカーも所持していた程にファミリーキャンプを楽しんでいた。一旦キャンプ場からは遠ざかったもののイワナ釣りを趣味とするようになって山中で寝泊まりする事を始めた。そんな関係で野外で泊まることに全く抵抗が無かった。またその頃に使っていた道具がそのまま利用出来た事も大きい。初期出費が少なかった事は再度始めるにあたって大きな動機となった。昨今言われる「キャンプ沼」というものがこの先に待ち受けているとは思いもしなかったがキャンプをするにあたって重要な道具は全て流用出来た。1人でキャンプを始める下地は十分に有ったという事だ。

壁がある幸せ

自分が今使っているテントはパップテントと呼ばれる軍用テントを模したもので現在ソロキャンパーに人気のあるテントの1つだ。ポール2本でテントを立ち上げ更に前幕をキャノピーとして跳ね上げればソロキャンプで十分な空間が生まれる。別途にタープを張る必要が無いのでシンプルで手軽でもある。

逆にイワナ釣りの野営に於いてはタープのみでテントを使用しないスタイルだった。ブルーシートを敷いて床としタープを張って屋根とする。そこには壁が無い。中にはブルーシートを用いて壁を作る猛者も居たが自分は面倒な事を省略して壁無しスタイルだった。キャンプと違って1人で行く事はなかったから良かったのだろうが、1人だったらさぞかし心細い思いをしたに違いない。

イワナ釣りというものには季節があって春から秋までの間しか釣りをすることが出来ない。詳しい期間は河川ごとに決まっているが概ね虫たちの活動期と同じだ。明るいうちはあまり気にならないが夜ともなればヘッ電だけが光源の森の中で灯をつけた時の壁が無い悲劇は想像に難くないだろう。

便利を楽しむ

キャンプで「不便を楽しむ」とよく聞く。しかし自分の場合は便利を楽しんでいる。なぜならキャンプ場なのだしクルマを横付け出来る所も多い。イワナ釣りでタープ泊をしていたのはバックパックだったからで極力荷物を減らしたかったのが理由だ。しかしクルマを横付け出来たり身近に駐車場があるキャンプ場ならば便利な道具を使いたい放題だ。タープをテントに変え、コットを使い、椅子やテーブルも有る。光り物はヘッドランプだけだった頃を思い出せばランタンを吊るして煌々と照らされた空間がある。上手くすれば場内で飲用アルコールが手に入ったりもする。「生ビールやってます!」なんてキャンプ場もある。クーラーBOX持参で魚を釣らずともお刺身を肴に酒を楽しめる。どうして「不便を楽しむ」などと言える筈もない。

焚き火に思う

キャンプの醍醐味は焚き火にある。と言うか焚き火をするためにキャンプに行く。日常の生活の中で気楽に出来ないものだから余計に憧れを抱く。困った事に焚き火はアルコールとセットにすると抜群の魅力を放つ。それを満喫していた時代がイワナ釣りをしていた頃だった。人里離れた山奥の渓流沿いで焚き火を前に酒を酌み交わす。他愛のない話に花を咲かせ酔いが回った頃に焚き火の傍にゴロンと横になって寝る。キャンプというより野宿に近いスタイルに焚き火は灯となり料理の道具として活躍する。人間と火の親密な時間だ。昨今のキャンプで言われるブッシュクラフトの分類に入るやり方でノコギリを使い薪を処理して焚き火を道具として使う。誤解をされては困るので簡単に説明するがノコギリは薪の長さを調整する為に使う。もちろん焚き木となる物は流木や倒木であって立木を切り倒したりはしない。渓流沿いには腐るほど流木が有るのだからその必要もない。ただ担ぐ荷物を減らす目的から現地で焚き火を熾して料理をやっていた訳で、今のキャンプで焚き火を料理の道具として使うのはあまりお勧めしない。焚き火で料理するのは格好いいかも知れないが何といっても鍋が汚れる。それも尋常じゃない汚れ方だ。自分は既に汚れた鍋釜を使ってはいるがやはり洗う事を考えると二の足を踏む。使う場合はアルミホイルを敷いた上に鍋を置くと良い。汚れ方が全然違う。まあ以前は如何に鍋が黒いかを競ったりもしたが、今のキャンプでそんなバカな事をする意味もない。現代キャンプはスマートに行きたいものだ。

しかし思い返すと30年前にやっていた頃のファミリーキャンプには焚き火は無かった。当時の時の人だった椎名誠氏や野田知佑氏らが焚き火をしながらキャンプをしていた姿は確かに憧れたものだったが多分どのキャンパーもキャンプ場で焚き火などやっていなかったと思う。焚き火台などというアイテムも存在していたのか不明で自分が知る限り商品として販売はされていなかった気がする。それならどうして今のキャンプは焚き火が必須の様な姿になったのだろうか?

さまざまに形を変える炎を見つめて時が過ぎる。昼間の釣りを思い返しながらアルコールを啜っていたあの頃。ロマンチックなあの魅力がバレてしまったのか?現代キャンプにその至極の時間を求めている同志たちが増えた事は素直に喜ぶ事にする。


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